手作り弁当とポテチ男の話
彼の奥さんは、筋金入りの「料理嫌い」。
噂によると、フライパンに触れたら蕁麻疹が出るレベルらしい(※本人談ではない)。
そんな彼に、私が初めて手料理をふるまったのは彼の誕生日だった。
プレゼントは、心を込めたお弁当。
メニューはというと──
- ハンバーグ(ド定番で正解)
- 肉じゃが(THE・家庭の味)
- ツナサンドとポテサラサンド(炭水化物×炭水化物の禁断コンボ)
- 黒豆ともち麦入りのおにぎり(もはや和のフルコース)
- 彩りにブロッコリー、ウインナー、ゆで卵(インスタ映え重視)
X(旧Twitter)に写真を上げたら、「重すぎ」「手料理は地雷」とか言われたけど、
「誕プレにお弁当ってどうかな?」と聞いた私に
彼はキラッキラした笑顔で
『うわー!最高じゃん!すげー嬉しい』
って言ったんだから、文句あるやつ全員黙ってて。
むしろ「料理=重い」って思う人って、
料理しないか、実家暮らしor外食ガチ勢なんじゃ…?
私の偏見ですか?(自覚アリ)
主婦やってたら料理なんて、空気と一緒。
あるのが当たり前。
ないと苦しい。
誕生日は“少し早め”に祝うのが大人のマナー
彼の誕生日当日は、まぁ当然、奥さんと過ごすだろうし。
だから私たちはフライングで前祝い。
会場は格安ラブホの一室。
“高級感ゼロ、安心感120%”のあの場所。
お弁当を渡す前に、まず私が食べられた。
(言い方よ)
ひと息ついた彼が、「お腹すいた〜!弁当食べていい?」と
無邪気な目で聞いてくる。
このギャップ。
見た目はガッチリ、5歳年下の大人の男。
中身は母性くすぐる少年。
私「どうぞどうぞ、召し上がれ♡」
まずはハンバーグをパクリ。
彼「めっちゃ美味い!!」
私「やったー!!😆❤️」
次に肉じゃが。
彼「これも美味しい。でも、ハンバーグの方が美味い!」
……おい、黙って全部食え。
ほんと、彼ってば正直者すぎて愛しいやらムカつくやら(笑)
(まぁ奥さんにはだいぶ不正直だけどな)
ポテトチップスが夕飯?
「こんなちゃんとしたご飯、久しぶり…」と
しみじみ呟く彼。
私「普段の夕飯って、何食べてるの?」
彼「ん〜、パスタとか、ポテトチップス」
……はい???
私「おやつじゃなくて?」
彼「うん、夕飯で。月2〜3回は。」
じぇじぇじぇ!!
外でバリバリ働く旦那の夕飯がポテチて!
私「それ黙って食べるの?」
彼「うん。慣れた。しかも、あのスーパーの厚切りポテチ、うまいの」
泣いていい?
てか、殴っていい?(誰を)
正月三が日、食パン1.5枚事件
彼の家庭は、さらに深かった。
正月三が日の夕飯──
「食パン1.5枚」だったらしい。
なんで「1枚」でも「2枚」でもなく、「1.5枚」なんだよ!!
カウントが繊細すぎて逆に怖い!!
新年会は肉祭り
そんな彼と、二人でシュラスコ(ブラジル焼肉)を食べに行った新年会。
彼はキラキラした目で肉を頬張りながら言う。
私「昨日の夕飯は?」
彼「ぷなっぴー(=百均で買ったお菓子)」
もう、何なのこの人!!
中身、完全に小学生男子じゃん!!
私「なんで自分で何か作ろうとしないの?」
彼「ヤダ!作りたくない!出してほしい!出なかったら、お菓子食べる!」
──もうそれ、育ててるって言っていいですか?笑
そんな彼の座右の銘は
「男尊女卑」らしい。
いや、完全に奥さんに主導権握られてるじゃん。
よくその言葉使えるな?って逆に感心するレベル(笑)
手料理は、重くなんかない。
誰かにご飯を作るって、
相手を思って、時間を使って、手を動かすってことで。
愛の労力のかたちだと思う。
少なくとも、ポテチよりは温かい。
1.5枚のパンよりは、記憶に残る。
そして私の手作り弁当は、
彼の記憶にも胃袋にも、きっとずっと残るはず。
「重い」って思われても、いい。
私にとっては「愛の重み」だから。